人の力をもっと発揮できる環境をAIで実現

お話ししてくれた方:能勢 航羽さん(代表取締役/会津大学在学中)
会社名 | 株式会社StoD |
---|---|
代表者 | 能勢 航羽 |
業種 | IT |
事業概要 | 企業のDX化・業務効率化を目指し、AI技術に特化したサービスの提供・システムの受託開発など |
設立 | 2024年4月 |
所在地 | 福島県会津若松市 |
企業サイト | https://matchstod.com |
創業のきっかけ
「起業」による新しい経験が
自分を育てる糧になる

私は小中学校時代に海外ホームステイを体験し、「それまでにない新しい経験が自分自身を大きく育てる」ということを実感しました。そこで、毎日新たな経験・体験ができるであろう、起業家への憧れを高めました。
会津大学ではプログラミングを学び、2年生時点でフリーランスエンジニアとしての活動を開始。ITの力で社会に貢献する方法を模索する中で、企業の「ルーチンワークが社員の成長を妨げている=新しい経験・体験の機会を減らしているのではないか」と感じてAIを活用した業務効率化の可能性に着目しました。業務の一部を自動化すれば、その分、社員が創造的な仕事に集中できる環境が作れるのではないかと考えたのです。「人の持っている力・スキルをもっと活かせる場を生み出したい」こうした思いから「StoD」の事業が生まれました。
この時期に起業を決意したのは、会津大学の「起業支援制度」を活用できるタイミングだったことも大きな理由です。
※会津大学の「起業支援制度」について https://www.ubic-u-aizu.jp/incubation/support.html
創業時に工夫したこと、大変だったこと

失敗から「気づき」を得た
顧客の声を聞く大切さ
「StoD」を立ち上げた当初、最大の課題は市場のニーズとのギャップでした。最初に開発したアプリは、私たちが想定していた課題を解決するものでしたが、実際の企業ニーズとは合致せず、思うように売れませんでした。その原因は、ニーズや課題の検証・ヒアリングが足りないままアプリの開発を行い、自分のアイデアを具現化するだけのアウトプットになってしまったことにあると考えています。この経験を通じて、顧客の声を直接聞いて本当に求められるサービスを提供することの重要性を学びました。
現在展開している「特注AI」は企業がAIを簡単に導入できるようにするため、30社以上にヒアリングを行ってニーズを徹底的に分析し開発したものです。また、会津大学の支援を受けながら専門家の助言を取り入れ、戦略を見直しました。営業活動でも企業と直接対話し、具体的な課題を把握しながらサービスの改善を進めています。市場の声を反映し、実際の運用環境に適した調整を重ねることで、より実用的なビジネスモデルを確立しました。
現在の状況
「特注AI」を入り口に
企業のIT化とAI化を促進

「特注AI」は企業の業務内容に応じたAIのテンプレートを用意し、それぞれのニーズに合わせてカスタマイズが可能なサービスです。AI導入のハードルを下げ、誰でも使いやすいシステムの提供を目指しており、まずは、企業によくありがちな課題に関する簡単な質問に答えてもらうところからスタートします。
多くの企業がAI活用の方法を模索している現在、まずはシンプルなツールで業務のIT化・AI化を促進することが重要だと考えています。同時に、私自身も地方の経営者コミュニティに参加し、企業の課題を把握しながら提案を繰り返しています。会津大学のネットワークも活用しながら、より役立つサービスになるよう努めています。
現在、私の他に3名のメンバーが「特注AI」の発展を支えてくれています。それぞれすごいところをもったメンバーなので心強いですね!全員が会津大学在学中ということもあり、学業と起業の両立はハードですが、週に1回は全員集まってミーティングをするなど、コミュニケーションは欠かせません。
創業してよかったこと・今後の目標

広がった視野とネットワークが
未来のビジネスに繋がる
「特注AI」を実際に利用した方々からは「AI・ITを用いて業務効率化を始める第一歩になった」と、うれしい言葉をもらっています。引き続き、パートナー企業と協力し、より多くの業界で活用できるサービスへと発展させていきます。
起業を通じて私が最も実感したのは、学びと成長の機会が格段に増えたということです。自分のアイデアが形になり、実際に企業に導入されることで、課題解決に貢献できる喜びを感じています。経営を通じて視野が広がり、多くの人とのつながりも生まれました。今後はより多くの企業にサービスを提供し、AI導入のハードルを下げながら、業務の効率化を支援していきたいですね。技術の進化とともに生まれる新たな課題にも対応して、企業の成長を支える事業を展開していきたい。最終的には「上場」が目標ですが、あくまで一つの節目にすぎません。その先も仲間とともに挑戦を続け、企業や社会に貢献するビジネスを展開していきたいです。
取材・撮影場所:会津大学産学イノベーションセンター(UBIC)・会津大学研究棟
※記事の内容は取材当時のものです